ご先祖さまの帰り道を照らす盆提灯

亡くなったご先祖様が帰ってくるといわれるお盆。

先祖の精霊をお迎えし供養する年に一回の大事な期間です。

この時期はお盆休みをとって里帰りをする人も多く、お墓参りをしたり親戚が一堂に会したりと、日本人にとってとても重要な時期です。

お盆の始まりには、ご先祖様が迷わずに帰ってこられるように迎え火を焚きますよね。

迎え火には乾燥させた麻に火をつけ燃やします。

日本では古くから麻は神聖な植物とされ、迎え火に麻をつかうことで場を清める役割もあるのだそうです。

そしてこの迎え火と同じ役割をもっているのが、実は盆提灯なのです。

短い時間で燃え尽きてしまう麻と違い長い時間灯し続けることができる提灯は、形を変えて現代まで繋がってきた「先祖を供養したい」という強い気持ちの表れなのでしょう。

盆提灯は、岐阜提灯などの「吊り提灯」と、大内行灯などの「置き提灯」の大きく二つに分けられます。

現在、一般的に飾られているのは大内提灯ですが、使う場所によって選ぶと良いでしょう。

提灯の火袋の部分には、美しい風景画や花々などの絵入りのものや家紋や戒名が入るものもあります。

元々工芸品として売り出され今日まで伝わってきたものですので、細部にもこだわりを持ってデザインされているものが多く、お盆棚を美しく飾ってくれます。

地域によってよく使われている提灯の種類もさまざまです。

盆提灯は贈答品として買い求められることも多く、20万円を超える高級品も多くあります。

ご先祖様を導く大事な明かりですので、お世話になった方にお贈りするときっと喜ばれることでしょう。